箕山スポーツ医学塾(File №20):膝蓋骨疲労骨折 stress fracture of the patella

比較的稀な疲労骨折。当院でも、疑わしい症例はいくつかありましたが、X-rayだけで確定診断できたのは、写真の3例だけです。

症例1:女子サッカー(大学生)
 他院でジャンパー膝と言われプレーを続けていたら、ストップ動作の際にバキっと裂離骨折となってしまった症例
 完全癒合するまで19週も要しました。
症例2:女子陸上長距離(高校生)
 1ヶ月前から疼痛とのことで来院。疼痛を我慢して練習していたため大腿四頭筋の委縮もみられた症例
 X-rayでわずかに骨折線が確認できました。
症例3:男子陸上長距離(大学生)
 疼痛出現から8週で、X-rayに硬化がみられた症例。

いずれの症例もジャンプ競技ではありませんでした。patella tendinopathyとの明らかな違いは、膝蓋骨そのものの直上(下極が多い)に強い圧痛がみられるとことです。


【投稿コメント:Doctor】
年齢はいくつくらいですか?
【箕山クリニック:Doctor】
症例2が高校生で、症例1、3が大学生です。

【投稿コメント:trainer】
以前、私がみている患者さんで、整形外科にて同疾患と診断をうけ、長期間ギプス固定後に、治療・リハビリで来院された方がいました。ドクターからは固定期間中は動かさずにとの指導があったとの事なのですが、実際に注意しなくてはならない事などがあれば教えて下さい
【箕山クリニック:Doctor】
私は疲労骨折にて保存治療する場合は、部位に関係なく固定は行いません。
骨の組織学的な治癒時期とレントゲン所見を合わせ、骨へのメカニカル負荷を考慮し、段階的に動きの許可を出していくだけです。膝蓋骨に対しては、各動きで大腿四頭筋の収縮がどのように起こるかを考えていくだけだと思います。
【投稿コメント:Doctor】
要因はやはりtightnessでしょうか?…フォームやシューズなども要因でしょうか?
【箕山クリニック:Doctor】
症例1の女子サッカー選手は、tightnessがみられました。
症例2の女子中距離の選手は、評価できないほどに、疼痛と筋萎縮が強い症例でした。
症例3の男子長距離の選手は、蹴り出しの右ではなく、軸となる左側でした。大学駅伝の全国レベルの選手で、アップダウンの走行練習も、もの凄くハードにこなしているので、下りでのQuad.のeccentric過負荷かもしれません。ちなみにこの長距離選手は、大腿骨の疲労骨折の既往もありました。