「何が正しいのか」 2005/09/25
例のブーちゃんによる「お金で買えないものはない」という発言が、今だに何かと引き合いに出されることがある。とても感じの悪い発言ではあるが、「愛や人脈はお金ではなく・・・」などとどんなにきれいごとを言っても、お金が全く0%関係しないことはなく、必ずしも彼の発言が間違っているわけではないと実はほとんどの人が思っているはずだ。ただ、それを平然と口にするかしないかの問題であるということで、このたびの選挙でのテレビ中継インタビューの態度をみても彼はまだまだ子供なのだ。同じ選挙区の自民党を追い出された落語家のような顔をしているオジサンも当選してほしくなかったが、中途半端な子供が国政にしゃしゃり出てくるよりはマシだと一安心である。同じ子供でも、26歳の新人ちゃんのほうが、本当に子供でまだ可愛げがある。
「経済のない一日はない」というように、間違いなく毎日日本中そして世界中で何事に関してもお金が動いている。物の値段やレストランのメニューの値段を、皆さんも原価はどれぐらいなのだろうだとか、またはそれぞれの価値観のなかで、高いとか安いという判断をされることがあると思う。原油価格の高騰とともに当然のようにガソリンも高くなり、ひいては原油をもとに作られるプラスティック製品なども値段が引き上げられるようなものも出てきている。このように価格というものがはっきりと計算されるものは価値が分かりやすいかもしれない。しかし、相場価格やどういった算出なのか分からない価格といったものがある。技術料や広告料などがそれにあたるだろう。ついでにもう一つ挙げるとすれば、キャバクラの値段だろうか。ほんの一時間ばかし横に座ってヘラヘラしていれば、時給一万というオネエチャンもいるわけだが、この金額はオネエチャンのオッパイの大きさで決まっているのか、お肌の露出度で決まっているのか不思議である。話が逸れてしまったが、我々の保険診療行為も技術料としての評価で、一つ一つに対して国に点数で定められており、初診料274点(2740円)再診料73点(730円)(いずれも病院ではなく診療所での点数)などのようになっているわけだが、それってどうっやって決められた値段?何をもってしてそういう診察料になるの?とか思ったことありませんか。3分診療でも、そこにそれだけの医者の能力と技術が凝集されているならばいいが、どれだけいい医者が診ようが、ボンクラな医者が診ようが同じ診察料なのだから、困ったものである。こういった技術料以外に、よく分からない金額として手数料なんてものがあるが、特に疑問に思うのは銀行の両替手数料だ。お金を細かくするだけに、こちらがわざわざ出向いてやって、自分で機械を操作して両替しているのに、何でお金を取られるのだろうか?こっちが手数料をもらいたいぐらいである。
さて、長い前フリはこれぐらいにして、そろそろ本題に入りたいが、同じくわけの分からないボッタクリの金額をとる広告やPRというものについて書いてみたい。皆さんが服やアクセサリーを買ったり、エステに行ったりする際、雑誌に載っていたからとかタレントが通っているところだからといったことが理由になることもあると思います。しかし、雑誌に載るぐらいだから良い物・良いところなのだといった誤解をしてはなりません。すべてがそうではないのですが、掲載されるための広告料というものがそこには発生しているのです。聞いた話だと、メジャーな雑誌の1ページを飾るのに、約100万はするとか。当然、どんな大企業でもそんな金額をたった一冊だけの広告のために支払うような無駄遣いをすることはなく、どのようにして広告をやりくりしているかといえば、広告代理店やPR会社に毎月同じような金額を支払う契約をしておき、広告代理店・PR会社から関連のあるメディア数社にPRしてもらうことによって、同金額にて何社にも掲載してもらうという手段をとるのです。なので、雑誌やTVへの露出は、経費でどれだけ広告料を使っているかの指標であり、必ずしもその物や施設が良いという指標ではないのです。一応もう一度申しておきますが、すべてがそうではないですよ。大企業ではなく、多額の広告料なんて使うことの出来ない小さな箕山クリニックなんかも、雑誌に掲載されたりTVに出たりしていますからね。逆に取材料や出演料を頂いているくらいです。ただ、お金を使ってない分だけ、掲載されるものがマイナーではありますけど・・・。広告業界やメディアに身をおかれている方々は、こういった世界を当然お分かりだろうが、一般の方々はメディアへの露出というものがお金次第なんてご存じではないでしょう。しかし、こういうことを分かっていようが分かっていまいが、ついつい「○○に載っていたから・・・」というのが心情である。つまり、我々はうまい具合にメディアに支配されているのです。自分の身の回りのもの、本当に何事にも左右されず、ふと街を歩いているときに純粋に良いと思って買ったものってどれぐらいあります?冷静に良く考えると怖くないですか。
メディアに影響されていることは、こういったところだけではないのです。最近、やたらと政治家が真面目な番組だけでなくワイドショーみたいなものにも出てきませんか。日曜日となると、朝からまずはNHK、そしてフジテレビ、最後に朝日テレビとはしご状態である。彼らも、メディアに批判されながらも逆にうまくメディアを利用して、国民にPRしているのです。その政治のメディアコントロールに大手広告代理店のD通やH堂が絡んでいるのではないかと考えたことはあるでしょうか。ここからは、私個人の勝手な想像の話となります。郵政解散で始まった今回の選挙における各党のCMも、間違いなく広告代理店が入っているわけですが、単純だが端的で分かりやすく渋い自民党、洒落てみたけど何を言ってるか分からないしくどいし暗い民主党、これがそれぞれの党の色の違いではなく、実は単にバックについている代理店がD通かH堂かの制作性の違いであったりするのでは・・・。郵政一本で勝てるという自民党の判断も、D通の調査によって、国民の大半が民営化したほうが良いと考えていると数値が出たうえで、D通に指示されて行ったことでは・・・。選挙までの番組での主張の仕方や表情の作り方、番組中に忙しさをアピールするためにわざとスケジュールがおしていると出ていったりする、これらも視聴者にかっこいい印象を与えるため、すべて代理店が作り上げたものなのでは・・・。というふうに考えるとやっぱり怖くないですか?もしこれが本当ならば、各党のマニフェストも大事だが、イメージで先入観をもってしまう私たちは、各党の本当の中身で良し悪しを判断しているのではなく、結局D通、H堂の作り上げたもの、どっちが良いかって判断していることになりますよね。ということは、代理店業界でD通が2位のH堂を引き離してぶっちぎりの1位であるかぎり、D通がついている自民党が政権を譲ることはないのかもしれません。何度も言っておきますが、これは私個人の勝手な想像ですよ。それにしても、民主党から暗いイメージが抜けない限りは、政権交代はないだろう。民主党新代表の前原誠司も非常に真面目でしっかりした考えを持っている良い政治家だが、いかんせん暗く華やかさがない。男は、いろんな意味で、ちょっとぐらい抜けているところがあるほうがいいと思うのだが、前代表岡田と同じで何の面白みや人間味もない。またしばらくは民主党に軍配が挙がることはないなと思うのだが、いっぱい裏金を作って、H堂よりもお金のかかるD通にメディアコントロールしてもらうようにすれば、可能性はあるのだろうか。
政治に関しては多少勝手な想像も交えてしまったが、いかに私たちは広告・PR・メディアというものに影響されているかということを自覚すべきだし、何事にも関しても自分で確認し正しい見極めができる能力を付けていかなければならないと思う。そしてできれば、大手広告代理店に勤めているからとチャラチャラ大きな顔して毎晩のように飲み歩いている人達、仕事柄飲むのもいいが、少しは自分たちが国民をコントロールしているかもしれないという自覚を持って、責任ある仕事をしてくれればと思う。
最後に、ちょっと自分自身のことについてネタをバラしておきます。これを読んでくださっている方のなかにも、私が出た例のTV番組を見られた方もおられると思います。当然のことながらお金を使って出演したのではなく、たまたま頂いた話だったのですが、私もともとあまり真面目そうに見えないキャラですので(自覚しております)、いかに皆さんにいいイメージに映るかを意識して、制作会社と相談のうえ番組を作ってもらいました。TVを見て来院したという患者さん、実際に診療を受けられてイメージ通りでしたか(笑)。

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