「なぜ」 2004/10/08
第2回のコラムです。書きたいネタがいっぱいあって、何にしようか悩んでいるうちにまた掲載が遅くなってしまいました。

さて、表題の「なぜ」ですが、前回コラムの表題も「なぜ」という言葉から始まりましたよね。今回は、この言葉に対する私の拘り(というか、私の中では当たり前の言語なんですが)を語ってみましょう。

皆さん“Evidence Based Medicine”(エビデンス・ベースド・メディスン)という言葉をご存知でしょうか?日本語にすると「証拠に基づいた医学」といった感じになるんでしょうか・・・。なんやそれ!っていう言葉になってしまいますが、要はきちんと科学的に実証されたことをもとに、診療を行っていきましょうということです。全く当たり前のことが近年医学会で叫ばれているという、オイオイって状態なのです。今頃こういったことが見直されているということは、逆に言うと今まで医者が何の説明もなしに患者さんに対して様々な治療を勝手に試したことがあったということ!?いわゆるInformed consent(インフォームド・コンセント、これは皆さんよくご存知の言葉ですよね)なんてなかった!?つまり、なぜ痛いのか?なぜ動かないのか?なぜこの治療を行うのか?なぜこの薬が必要なのか?なぜこのリハビリを行うのか?「なぜ」が説明されてないのです。

今でも、患者さんを診察していてよく聞く言葉が、「他の整形外科に行ったら、骨は大丈夫と言われたんですが」。皆さんきっとそんなことは分かっとるわい!って、言いたいでしょう。どんどん言えばいいです。「何で痛いか聞きに来とるんじゃ!」と。例えば、車屋さんで「・・・を交換しておきましたから」って言われて、「なんでやねん、勝手な金取んなや」ということですよね。最近、病院を株式にすることを許可し、経営をもっとうまくやって行こうだの言われてますが、まあまずは患者さんが何を求めておられるのかということから医者だけでなく、職員全員きたえ直さないと、全く意味ないですな。それは、医療サービスだけでなく、他のサービス業も同じことだと思います。

箕山クリニック& DOCTOR'S FITNESSでは、私ドクターのみならず、スタッフ全員がとにかくこの「なぜ」ということを大事にしています。理学療法士は、リハビリでなぜこういったことを行うのか、トレーナーは、なぜこのトレーニングを行うのか、説明できる能力をスタッフ全員持っています。逆に、そうやって勉強してきたスタッフしか雇っていないと言ったほうが分かりやすいでしょうか。つまり、きちんと科学的根拠(最新のことも含め、きちんと論文で発表されていること)をもとに、皆さんに指導させていただいております。皆さん分からないことはどんどん聞いてください。ただ、我々も分からないことは、はっきり分からないと言います。分からないと言える勇気があるということは、それだけ勉強しているということであり、自信があるのです。

先日テレビで、「半身浴がいいって聞くから私もやっている〜」「酢がいいって言うから飲んでる〜」って芸能人が言ってましたが、その後「でも、なんでいいのか分からない〜」ですって。皆さんもこんなことのないよう、何事もなぜこうするのかということを考えて行っていきましょう。特に、学生の皆さんはなぜこの勉強をするのか、なぜ自分は将来こういった仕事をしたいのか、といったようにきちんと目的をもって将来に向かってほしいと思います。

ところで、今回のコラムで医療サービスのことについて少し触れました。気づかれている方もおられると思いますが、サービスどうのこうのを語っておいて、私は患者さんに対し患者様とは言わないですよね。これも私の拘りなので、いずれコラムで語りたいと思います。

では、また次回。

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